14のランデヴー
夏の夜
重たい空気が包むなか
なにも香らないが懐かしいにおい
内緒でとびでたあの夏、あなたのTシャツはもう覚えてないけれど
手をつないだわけでも、ましてや口付けを交わしたわけでもないけれど
昼は乾いて痛みすらある日差しのなか 歩いて帰った通学路だが 今はちがう
虫の声かえるの声 だれもいないあぜ道で
少し離れたところを歩く Tシャツのそでが重くて手をのばせない 触れられない
それでもお互いわかっている
相手が特別なこと 自分を認めていること 麻酔がきいたようなきぶん
耳鳴り 暗闇 ただ空気だけがほてるようなだらけるような
もう帰ろう 明日また昼間はただのクラスメート